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自転車

自転車道はどこに造るか――通勤の潜在需要を地図にするPCT

The Propensity to Cycle Tool: An open source online system for sustainable transport planning

Robin Lovelace / Anna Goodman / Rachel Aldred / Nikolai Berkoff / Ali Abbas / James Woodcock
Journal of Transport and Land Use

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イングランドの通勤データから、自転車利用が増えた場合の需要分布を区域から道路区間まで示す計画支援ツールを解説する。

この論文のポイント

  • PCTは2011年国勢調査の通勤ODデータを基に、自転車利用を区域・希望線・経路・道路区間の各水準で示す。
  • 政府目標、男女平等、オランダ並み、電動自転車の4シナリオは、将来予測ではなく利用が増えた場合の分布を検討する設定である。
  • 道路区間の値は経路割当てと対象ODの抽出条件に依存し、実際の走行交通量や整備効果を示すものではない。

背景と課題

自転車道を計画するには、幅や構造だけでなく「どこに造るか」を決めなければならない。現在の利用者が多い場所と、利用が増えた場合に需要が集まる場所は、必ずしも同じではない。本論文が紹介するPropensity to Cycle Tool(PCT)は、通勤の出発地と到着地の間の移動量を使い、現在と複数の普及シナリオを地図で比べる計画支援システムである。建設場所を自動決定したり、将来の交通量を予言したりするものではなく、整備候補を議論するための資料を提供する。

研究の方法

入力の中心は2011年国勢調査のODデータである。ODは出発地・到着地の組を意味し、ここでは居住地と勤務地の行政区域MSOAの組ごとに、主な通勤手段別の人数を記録する。これは個々人の走行履歴ではない。区域の人口加重重心を位置の代表点とし、ODごとに自転車向け経路の距離と平均勾配を結び付ける。健康影響の計算には地域の死亡率なども加える。前処理では、最速経路が30kmを超える移動や対象域外に向かう移動を「その他」にまとめ、同一区域内で完結する通勤の距離・勾配などは推定する。

次に、通勤者が自転車を主な手段にする割合を、経路距離と勾配に結び付けるロジスティック回帰を用いる。割合を推定する統計手法で、論文では距離の二乗・平方根の項と、距離と勾配の相互作用も入れ、距離による変化が一様でないことを表す。こうして得た基礎的な利用傾向からOD別のシナリオ値を作る。「政府目標」は各ODの観測自転車通勤者数にモデル推定人数を加え、全国の自転車通勤者数を倍にする。「男女平等」は各ODの女性の自転車通勤割合を男性の現状と同じにする。「オランダ並み」は基礎的な利用傾向に距離に応じたオランダの係数を適用し、「電動自転車」はそこからさらに距離・勾配に応じた係数を適用する。係数や式の詳細は論文が付録に委ねているが、提示本文にはその付録がなく、数値を再計算する手順までは確認できない。

出力用にはODを両方向で合算し、重心間を結ぶ直線「希望線」と、自転車向け経路にする。重なる最速経路については、シナリオ別の人数を道路区間ごとに足す。健康影響は身体活動が増える自転車利用と、置き換えられて減る徒歩の双方を考慮する。排出削減量は自動車運転の減少から推計する。どちらも、自転車への転換では各非自転車手段が同じ相対割合で減るという仮定に基づく。利用者は区域、希望線、経路、道路区間の表示を切り替え、候補地を検討できる。

この研究の新しさ

PCTは、全国で共通の通勤ODデータを使いながら、区域別の集計だけでなく、希望線、経路、重複経路を合算した道路区間まで結果をたどれる。オンライン地図は一般に公開され、地図の基礎データもダウンロードできる。論文はソースコードの公開も特徴に挙げ、別のシナリオを作ったり、他地域に応用したりできる可能性を示している。ただし、公開されていることと、各地でそのまま妥当な推計が得られることは別である。

従来研究との違い

論文が紹介する既存研究には、行政区域ごとの自転車利用割合を推定するものや、旅行調査と利用者の意向から整備候補を順位付けするものがある。ロンドンの自転車利用可能性分析は旅行の属性を使うが、論文によればODデータは使わず、経路に沿った介入には結び付けにくい。一方、経路を扱う先行研究も存在する。PCTの比較上の特徴は、全国を対象に、ODから道路区間までをオンラインで一貫して見られる点にあり、先行手法より予測精度が高いと実証した比較ではない。

結果と評価

論文は、通勤距離・勾配と自転車利用割合について、2011年の観測値とモデル値を図で示し、各地の表示例でシナリオ間の違いを説明する。ただし、掲載された比較から、将来の利用増を的中させたとはいえない。例えばリーズのYork Roadでは、道路区間に割り当てられた自転車通勤者数が現状88人、政府目標シナリオ318人、オランダ並みでは1426人となる。これは設定した普及水準と経路割当てによる値であり、整備後に観測された交通量ではない。

健康面では自転車利用による身体活動の増加から、徒歩が減ることによる不利益を差し引くため、徒歩からの転換が多いODでは純効果が小さくなり、負になる場合もある。排出量の計算には、自動車運転1km当たり0.186kgのCO₂換算値を使う。これらは転換手段や移動距離などの仮定に依存する推計である。論文の事例は地図を計画にどう使えるかを示すもので、個別の自転車道整備による利用増、健康改善、排出削減を検証したものではない。

限界・注意点

著者が挙げる主な限界は、2011年の通勤ODデータへの依存である。通学・買物などは対象外で、その後の行動変化も十分に反映できず、画面で選べるシナリオも限られる。また、最速経路は実際に自転車利用者が選ぶ道とは限らない。道路区間の集計からは区域内通勤、勤務地が固定されない通勤、地域をまたぐ通勤などが除かれる。論文執筆時の経路抽出条件では、道路区間の表示が対象とするのは全国の自転車通勤者の約3分の2だった。これらは著者が示す適用範囲であり、現地で経路や交通量を照合することは、別途必要な導入時の検証である。なお、提示本文には参照先の付録が含まれず、係数や詳細な式は確認できない。

現場への応用案

編集上の応用案として、同じ地域の「現在の自転車通勤者が多い経路」と「オランダ並みシナリオで上位になる経路」を並べて示すと、現状の利用量だけで候補を選ぶ場合との違いを説明しやすい。地図には、対象が通勤であること、希望線も割り当て経路も個々人の実走行記録ではないことを添えたい。

現場で確かめるには

編集上の導入時の検証案として、候補道路で自転車・徒歩・自動車の交通量を調べ、通勤者への経路調査と現地確認で、割り当てられた最速経路が通行可能で実際に選ばれているかを確かめる。地域をまたぐ通勤や区域内通勤の扱いも確認し、道路幅、交差点の安全性、静かな代替経路を検討する。需要の順位を、そのまま建設可否や事業効果の判定に使わない。

解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。

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