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交通と土地利用

徒歩通学はどの距離で変わりやすいか――1〜3kmで高い距離感度

Heterogeneity in distance elasticity of active travel to school

Laya Hossein Rashidi / Jennifer L. Kent / Emily Moylan
Journal of Transport and Land Use

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豪州ニューサウスウェールズ州の通学調査を分析した研究は、徒歩通学の選択確率と距離の関係が、学校までの距離帯によって異なると報告した。

この論文のポイント

  • ニューサウスウェールズ州の児童生徒について、分析表に記載された6,629人の登校手段と距離の関係を多項ロジット回帰で調べた。
  • 距離1%増に対する徒歩選択確率の相対変化は、モデル上、全体平均で約−1.74%、1〜3kmの層で約−2.98%だった。
  • 距離帯による感度の差は大きい一方、属性や土地利用区分による差には小さいものや有意でないものがあった。

背景と課題

家から学校までの距離が長いほど徒歩通学が少ないという関連は、先行研究で繰り返し報告されている。一方、「何kmまでなら歩くか」という目安は研究によって異なる。距離が少し延びたとき、徒歩を選ぶ確率がどの程度変わるかも、全員を一つの平均値で表すだけでは分かりにくい。本研究は、この距離への感度を児童生徒の属性や学校周辺の環境ごとに調べた。

分析には、2015年にニューサウスウェールズ州で実施された通学調査を用いた。対象は4〜17歳の児童生徒で、分析表に記載された観測数は6,629人である。扱うのは登校時の手段であり、下校時は対象に含めていない。

研究の方法

観測単位は児童生徒一人の登校で、目的変数は徒歩、公共交通、自家用車の三つの通学手段である。論文は能動交通の分析対象を、通常の週に少なくとも3日、徒歩で登校する児童生徒としている。主な説明変数である通学距離は、実測した経路長ではない。調査票の所要時間に手段別の想定平均速度を掛け、kmに換算した。徒歩には子ども向けの時速4.5km、自転車には時速13kmを用いている。年齢、性別、居住地の社会経済指標、都市・農村の別、公立校かどうかも説明変数に加えた。

学校周辺については、道路網に沿った0.5、1、1.5kmの範囲を比べ、係数の解釈などを踏まえて1.5kmを採用した。その範囲の人口密度、公園数、公園面積割合の区分、土地利用の混在度を付ける。混在度は住宅・商業・公園の面積割合から計算する0〜1の指標で、三用途の割合が均等に近いほど大きい。距離は1、3、5kmを境に四つの区間変数に分ける。たとえば2kmなら、最初の1kmと次の1kmが別の変数に入る。これにより境界で予測値を飛ばさず、区間ごとに距離との関係を変えられる。

次に多項ロジット回帰を推定する。各手段の「選ばれやすさ」を説明変数と係数から計算し、その指数を三手段の指数の合計で割って選択確率に直す。自家用車を基準に、徒歩と公共交通の係数を推定した。徒歩の距離係数が負なら、その区間で距離が延びるほど、自家用車に対する徒歩の選ばれやすさが下がる。ただし徒歩の確率は公共交通の係数にも左右される。最後に各人の距離だけを1%増やして区間変数と徒歩の予測確率を計算し直す。元の確率に対する変化率を個人の距離弾力性として求め、全体と距離帯などの集団別に平均した。

この研究の新しさ

距離に一つの係数を当てず、区間ごとの関係を推定したうえで、各人の距離を1%変えた場合の予測確率を再計算した点が特徴である。距離弾力性とは、距離の相対的な変化に対する選択確率の相対的な変化を表す値で、負の値なら距離が延びたときに徒歩の確率が下がることを示す。個人別の値を集計することで、全体平均の背後にある距離帯ごとの差を示した。

従来研究との違い

論文が整理した先行研究では、徒歩・自転車通学の距離の目安は875mから4kmまで幅があった。また本研究は、説明変数が平均値の「一人」について計算する弾力性と、各人について計算してから平均する弾力性を区別する。同じ推定モデルによる前者は−1.01、後者は−1.74だった。この差は標本内の感度を一つの代表値で示す難しさを表すもので、政策を実施した効果の比較ではない。

結果と評価

モデル上、距離が1%増えた場合の徒歩選択確率の相対変化は、全体平均で約−1.74%だった。距離帯別には1km未満で−0.36%、1〜3kmで−2.98%、3〜5kmで−1.41%、5km超で−1.36%と報告されている。対応する標本内の徒歩利用割合は77%、20%、5%、1%である。この条件で小さな距離の変化に最も敏感だったのは、1〜3kmの層だった。

学校周辺の人口密度や土地利用の混在度は、徒歩通学と正に関連した。学年による弾力性の差も報告されている。一方、性別や土地利用区分による差には小さいものがあり、都市・農村別や学校種別などでは有意な差が確認されていない。これらは観測データから推定した関連であり、距離や街並みを変えれば同じ割合だけ徒歩通学が変わると実証した結果ではない。

限界・注意点

【著者が述べる限界】調査には保護者の態度や行動、児童生徒の住所、世帯収入、民族性、保護者の学歴が含まれない。著者は、より詳しい移動データや地域・近隣単位の分析を今後の課題に挙げている。

【本文から読み取れる解釈上の注意】距離は所要時間と想定速度から作った代理値である。能動交通の中心的な分析区分は徒歩で、自転車通学の距離弾力性を独立に示した結果ではない。また、本文の一箇所にはデータ整理後の人数として6,837人とあるが、分析表などは6,629人と記すため、人数には記載の不一致がある。2015年の横断調査による1〜3kmという結果を、他地域や他時点にも当てはまる確定的な境界とは扱えない。

現場への応用案

【編集上の応用案】学校区や通学路を扱う記事では、単一の「徒歩圏」の線引きに加え、1km未満、1〜3km、3km以上で距離への感度が異なることを図解する。1〜3kmを通学路の安全対策や学校配置を検討する範囲として紹介する際は、この数値がモデル上の確率変化であり、整備事業の効果予測値ではないと明記する。

現場で確かめるには

【編集上の導入時の検証案】別の地域で使う前に、住所と学校を結ぶ道路網上の距離を測り、所要時間から換算した距離とのずれを確かめる。徒歩、自転車、公共交通を区別した登校記録に、保護者の安全認識や交通量、横断条件を加え、距離帯別の感度が再現するか調べる。対策を実施する場合は、実施前後の通学手段の変化を比較対象の学校区とも照らし合わせる。

解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。

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