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公共交通

車利用者は公共交通の所要時間を長く見積もるのか――アムステルダム方面の移動調査

Perceptions of public transport travel time and their effect on choice-sets among car drivers

Nicolaas Jacob Arnold Van Exel / Piet Rietveld
Journal of Transport and Land Use

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車利用者が考える公共交通の所要時間を経路検索による予定時間と比べ、その認識が公共交通を移動の選択肢に含めるという回答にどう関係するかを調べた研究である。

この論文のポイント

  • 車利用者17,642件の申告では、公共交通の平均見積もり時間は116.9分、車の平均所要時間は59.8分だった。
  • 経路検索時間を推定できた6,318件では、公共交通の平均見積もり98.0分に対し、検索上の平均時間は67.0分だった。
  • 検索上の時間に置き換えたモデル試算では「公共交通では行けない」という予測回答が減ったが、実際の行動変化は測っていない。

背景と課題

普段は車で移動する人が、公共交通を使う前から「時間がかかりすぎる」と考え、検討対象から外している可能性がある。ここでいう「選択肢集合」とは、特定の移動について本人が利用可能だと考える交通手段の範囲である。著者らは、オランダのアムステルダム方面へ車で向かった人を対象に、公共交通の所要時間の認識がどれほど経路検索上の時間と異なるか、また、その違いが選択肢についての回答とどう結び付くかを調べた。対象は都市内の短距離移動ではなく、長さ10キロメートル以上の移動を含む主要回廊の車利用者である。

研究の方法

観測単位は、調査日に確認された車利用者の個別の移動である。2000年9月の3日間、アムステルダム方面へ向かう6つの主要回廊でナンバープレートを映像から読み取り、車両の登録先へ質問票を送った。出発地・目的地、移動目的、申告した車の所要時間、移動頻度などを尋ね、同じ移動を公共交通でも行えたと思うかを「いいえ」「はい、ただしめったに使わない」「はい、定期的に使う」の3択で聞いた。公共交通を使う場合の、出発地から目的地までの所要時間も見積もってもらった。発送69,616通のうち21,335通が返送され、公共交通時間などの欠測を除いた17,642件で申告値を集計した。出発地・目的地が粗い地域名のみの記録は経路検索との比較から除き、6,318件を用いた。

この6,318件について、出発地・目的地の情報をウェブの経路検索に当て、鉄道の駅間の予定時間に、駅へのアクセスと駅から目的地までの移動時間を加えた。後二者は区域ごとの推定平均で、中央駅のごく近くと遠方を除く設定によって見積もった。得られた検索上の時間、本人の公共交通時間の見積もり、申告した車時間を比較する。さらに、公共交通時間の見積もりを目的変数として、車時間、検索上の公共交通時間、移動頻度、その移動での公共交通利用経験に当たる回答、目的地、時間帯との関連を回帰分析した。

選択肢については、3択の回答を目的変数とする多項ロジット回帰を使った。「いいえ」を基準に、残る各回答の出やすさを、目的地、移動目的、車時間、駐車条件などから別々の係数で表す。主要な説明変数は、本人が見積もった公共交通時間を申告した車時間で割った比である。各回答の確率は、その回答用の係数と説明変数を掛け合わせて足した値を指数に変換し、3回答分の合計で割って求める。係数を推定した後、他の条件を固定し、時間比の分子だけを検索上の公共交通時間に替えて確率と予測回答を計算し直した。出力は情報提供後の実測結果ではなく、時間の認識が検索上の値に一致すると仮定したモデル上の回答分布である。

この研究の新しさ

特徴は、実際に車で行った移動について、本人が考える公共交通の所要時間と、出発地・目的地に基づく経路検索時間を突き合わせ、その差を「公共交通でも行けたか」という回答の分析につないだ点にある。車と公共交通の所要時間差だけでなく、公共交通についての認識と検索上の時間との差を区別している。ただし後者を直ちに「誤認」と断定はできない。検索結果は個々人が実際に経験する時間そのものではないからである。

従来研究との違い

申告値を集計した17,642件では、車の平均所要時間が59.8分、公共交通の平均見積もりが116.9分だった。経路検索時間を推定できた6,318件では、それぞれ47.6分、98.0分で、検索上の公共交通時間は67.0分だった。この部分標本では、検索上でも公共交通のほうが車より時間がかかり、本人の見積もりはさらに長い。二つの標本の平均をつないで差を計算することはできない。6,318件の車移動は分析対象全体より短く、論文に示された個人ごとの時間比の平均も、これらの平均時間同士を割った値とは異なる。

従来研究との関係では、公共交通を選択肢と考えない車利用者がいるという知見を、今回の個別移動の申告値と経路検索時間から検討している。他研究の情報提供策と効果を直接比較した実験ではない。

結果と評価

6,318件では、公共交通を「定期的に使う」と答えた層の見積もりは検索上の時間に比較的近く、「利用できない」と答えた層では開きが大きかった。公共交通を使う人ほど時間を正確に知るのか、時間条件のよい移動だから使うのかは、この比較だけでは分からない。多項ロジット回帰でも、見積もった公共交通時間の対車時間比が高いほど、公共交通を選択肢とする回答は出にくいという関連がみられた。論文が示す限界効果では、この比が1増えることに対応する「いいえ」の予測確率の変化はプラス0.225である。限界効果は説明変数と予測確率の関係を示す値で、情報提供による因果効果ではない。

時間比に検索上の値を使うと、モデルが「いいえ」と予測する人数は3,406人から1,673人へ、「はい、ただしめったに使わない」は2,886人から4,616人へ変わった。個々の予測分類が同じだったのは63.6%である。これは同じ6,318件について入力条件を替えた試算であり、回答者に情報を示して再質問した結果でも、実際の公共交通への転換人数でもない。

限界・注意点

著者らが挙げる限界は、駅まで・駅からの移動に区域平均を使うため個人差を捉えきれず、車利用者の標本にも偏りが生じ得ること、そして車利用を正当化するために公共交通時間を長めに答えた可能性があることだ。情報不足だけが時間の開きの理由とは限らず、選択肢に加えることと実際に乗ることも異なる。著者らは、試算が情報提供による変化を過大に見積もる可能性を指摘している。編集上の検証事項としては、公共交通時間を答えなかった人に「利用できない」と考える人が多い点、経路検索可能な標本から出発地・目的地の情報が粗い移動が除かれた点、予定時間と遅延を含む実時間の違いを、別地域への適用時にも確認したい。

現場への応用案

編集上の提案として、交通案内では「車より何分長いか」だけでなく、駅までと駅から目的地までを含む公共交通の総所要時間を、個別の移動に即して示すことが考えられる。論文は認識と検索上の時間の開きを調べたが、この表示方法自体の効果は検証していない。

現場で確かめるには

編集上の導入時の検証案として、出発地・目的地と出発時刻に合わせた公共交通の予定時間を提示し、提示前後の時間見積もりと「利用できると思うか」という回答を測る。提示しない比較群も設け、後日の利用状況を別に確かめたい。時間の認識の修正、選択肢への追加、実際の乗車を異なる成果として扱う検証案であり、本論文が実施した手順ではない。

解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。

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