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公共交通

公共交通の「最後の区間」を配車で補うと、誰の仕事へのアクセスが広がるか

Integrating transit and TNC services to improve job accessibility: Scenario analysis with an equity lens

Lingqian Hu / Sai Sun
Journal of Transport and Land Use

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シカゴを対象に、公共交通から職場までの最後の区間を配車サービスで補う仮想シナリオを比較し、低所得労働者の仕事へのアクセスと集団間の違いを調べた研究である。

この論文のポイント

  • シカゴ市内の低所得労働者について、公共交通のみの場合と、補助付き配車を最後の区間に使える場合の仕事へのアクセスを比較した。
  • 料金上限3水準と乗り継ぎ時間3水準を朝・昼それぞれで計算し、全9条件で全低所得労働者の加重平均アクセスが増加した。
  • 朝は黒人・女性労働者の既存のアクセス格差が一部縮まる一方、ヒスパニック系の改善の絶対量は非ヒスパニック系より小さく、便益の分布は一様でなかった。

背景と課題

公共交通の駅や停留所から職場までの移動が不便な場合、その「ラストマイル」を配車サービスで補う方法が考えられる。ただし、配車サービスは料金を負担できる人ほど使いやすい。公共交通から利用者を奪い、そのサービスを弱める懸念もある。本論文は、TNC(アプリなどで配車を仲介する事業者)の料金を低所得労働者向けに補助すると仮定し、仕事へのアクセスがどれだけ増え、その増分が人種・民族・性別の集団間でどう異なるかを問う。シカゴで実施された補助制度の効果測定ではない。

研究の方法

分析単位はシカゴ市内の801の国勢調査区で、居住区を出発地、職場の区を目的地とする。仕事数と居住者数には2017年のLODESを使い、月収1250ドル以下の所得区分を対象に、街区単位の値を調査区へ集計する。2020年のCMAP資料から公共交通の地区間所要時間と自動車の所要時間・距離を得る。元の単位である交通分析ゾーンの重心を、最も近い調査区の重心に対応させ、地区間の行列に変換する。公共交通の時間は車内時間に基づく。配車記録は2019年3月~2020年2月の平日から祝日を除き、朝7時~9時59分と昼10時~12時59分に分ける。

まず、実際の配車記録がある出発地・目的地の組ごとに平均料金、所要時間、距離を求める。料金を所要時間と距離で説明する線形回帰を時間帯別に推定し、その係数とCMAPの自動車時間・距離を用いて、記録のない組を含む全64万1601組の料金を推計する。補助上限を5、7.5、10ドルとし、上限を超える配車区間は候補から除く。残る「公共交通+最後の区間の配車」の経路には、乗り継ぎに要する時間として0、5、10分のいずれかを加え、公共交通のみの経路とも比べて地区間の最短時間を選ぶ。ただし本文は、個々の乗換地点や候補経路を網羅的に作る手順までは示していない。同じ調査区内の移動では公共交通のみを最短とする。

各居住区の仕事へのアクセスは、目的地区ごとの対象仕事数に、所要時間に応じた重みを掛けて合計する。重みは「eの−bT乗」で、Tは地区間所要時間、bはシカゴの平均通勤時間35分の逆数である。時間が長いほど仕事数への重みは小さい。出力は単純な到達可能件数ではなく、時間で割り引いた仕事数となる。公共交通のみと併用時の値をそれぞれ求め、各集団の労働者が居住区ごとに占める人数の割合で加重平均する。こうして、同じ移動条件でも居住分布によって異なる集団別の改善幅を比較する。

この研究の新しさ

配車サービスを公共交通の代替手段として単独で評価するのではなく、料金補助を受けるラストマイルの選択肢として組み込んだ点が特徴だ。料金上限と乗り継ぎ時間をそれぞれ3水準にした9条件を朝と昼に適用し、アクセスの増分に加えて、その増分がどの集団の居住地で生じるかを示す。

従来研究との違い

基準は公共交通のみの移動である。併用案でも公共交通だけの経路を候補に残すため、条件に合う配車経路が速い場合に、その時間が採用される。料金上限を上げれば利用できる配車区間が増え、乗り継ぎ時間を長く見込めば時間短縮の利点は減る。集団間の比較では、元のアクセス水準、改善の絶対量、改善率を分けて読む必要がある。例えば昼の黒人労働者は、改善率が3人種中最大となる条件がある一方、改善の絶対量は全9条件で最小だった。

結果と評価

全低所得労働者の加重平均アクセスは、公共交通のみでは朝のピーク時に9万8702、昼のオフピーク時に9万3380だった。料金上限5ドル・乗り継ぎ10分の場合、併用による増分は朝1298(1.32%)、昼559(0.60%)。上限10ドル・乗り継ぎ0分では朝1万1972(12.13%)、昼1万4945(16.00%)となる。0分は著者自身が非現実的な仮定と認めている。論文は、掲載した朝の5ドル条件では全調査区に何らかの改善があるとも報告する。

朝は、黒人労働者が9条件中7条件で白人・アジア系労働者より改善の絶対量と割合が大きく、女性も全条件で男性を両指標で上回った。一方、ヒスパニック系の改善の絶対量は、朝の全条件で非ヒスパニック系より小さい。昼は、女性の改善率は男性より高い条件が多いが、絶対量は大半の条件で小さい。これらは仮定した移動条件によるアクセス指標の比較であり、就職者の増加や補助実施後の行動変化を実証した結果ではない。

限界・注意点

【著者が述べる限界】オフピークの分析対象は昼間で、夜間や週末は評価していない。対象は最後の区間のみで、最初の区間は含まない。CMAPの資料では鉄道とバスを分離できず、配車データは市内に限られるため、市外居住者を含む地域全体の仕事へのアクセスも評価できない。COVID-19後の雇用・移動の変化にも注意が必要だ。著者は、営利の配車事業者への補助そのものを推奨していない。【編集上の留意点】この仮想比較から、実際の車両供給や利用上の障壁を踏まえた制度効果までは判断できない。

現場への応用案

【編集上の応用案】補助額だけでなく、乗り継ぎに何分を見込むか、どの集団の居住地から見た改善かを併記する政策説明資料に、この枠組みを応用できる。改善率と絶対量を並べれば、元のアクセスが低い集団の高い改善率を、格差が解消した証拠と取り違えにくい。

現場で確かめるには

【編集上の導入時の検証案】試行前には、実際の料金が補助上限内に収まる割合や、車両の待ち時間・乗り継ぎ時間を地区・時間帯別に測り、シナリオの仮定と照合したい。試行後にはアクセス指標だけでなく、実際の通勤、公共交通の利用、事業費を確認する。アプリや支払い手段などの利用障壁が残る人にも便益が届くか、別途調べる必要がある。

解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。

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