駐車料金を知っていても探し続ける? ブリスベンの路上駐車調査
Cruising for parking: New empirical evidence and influential factors on cruising time
ブリスベンの運転者調査は、路上駐車を探す時間を、料金の認識や場所へのなじみ、路上駐車の便利さと結び付けて検討した。
この論文のポイント
- 2015年調査では、路上駐車者50人の平均探索時間は13.38分、地下駐車場利用者50人は15.72分だった。
- 論文は、3時間駐車の比較で地下駐車場の料金が平均4.65ドル高く見積もられたと報告する。
- 2015年の回帰分析では、地域・駐車事情へのなじみは探索時間と負の関連を示したが、予想料金の率の係数は5%水準で有意ではなかった。
背景と課題
「駐車場探しの巡回走行」とは、空いた駐車枠を求めて周辺道路を走ることである。駐車の経済モデルでは、路上と路外の料金差に探索時間の費用が見合わなくなれば、運転者は探索をやめると考えることが多い。ただし、料金や空き状況を運転者が正しく知っているとは限らない。本研究は、オーストラリア・ブリスベンのサウスバンク地区で、運転者の認識と自己申告の探索時間を調べた。対象地区には飲食店に近い路上枠と、大規模な地下駐車場がある。
研究の方法
観測単位は、現地で聞き取りを受けた運転者1人である。調査は2013年と2015年の金曜・土曜、17~20時に行った。詳細な分析に用いた2015年調査は、最終的に路上に停めた50人と地下駐車場を利用した50人を対象とする。滞在予定、路上枠を探した時間、実際に使ったほどの時間を探すつもりだったか、駐車先の好み、地域と交通・駐車事情へのなじみ、予想料金などを聞いた。探索時間は2分刻みなどの選択肢から選ぶ自己申告値である。2013年調査では主に探索の有無と時間を尋ね、年別比較に用いた。
まず、回答を最終的な駐車先で分け、平均探索時間を集計した。滞在予定に対する予想料金を対象地区の料金と比べ、認識のずれも調べた。地下駐車場を探索せず最初に選ぶには、路上との料金差がどれほど必要かという回答からは、路上駐車の近さや便利さに対する価値を「プレミアム」として見積もった。次に、「実際に使ったほどの時間を探すつもりだったか」で分けた2群の平均探索時間を、独立標本のt検定で比較した。調査年と最終的な駐車先による探索時間の違いには、両者の交互作用を含めない分散分析を用いた。
最後に2015年の各人の探索時間を目的変数とする重回帰分析を行った。説明変数は、探索時間が意図した範囲だったか、予想駐車料金の率、路上駐車プレミアムが5ドル以上か、地域と交通・駐車事情の両方になじみがあるか、の4つである。なじみは両方に「はい」なら1、それ以外は0とした。回帰係数は、モデル内のほかの項目を同じとしたときの探索時間との関連を表す。論文は適合度と係数の有意性を見ながら変数を加えたと述べるが、個人別プレミアムや予想料金の率の詳しい算出式、変数を加えた順序は示していない。したがって、係数を独立した因果効果や、そのまま再現できる予測手順とは扱えない。
この研究の新しさ
実際の料金だけでなく、運転者が予想する料金を尋ねた点が特徴である。地下駐車場を実際より高いと思えば、路上枠を探す魅力も大きく見える。さらに論文は、路上駐車の便利さを料金上の価値として捉え、既に費やした探索時間が惜しくて探し続けるという「埋没費用」の仮説を提示した。埋没費用とは、判断を変えても取り戻せない過去の支出をいう。ただし、その心理的作用を直接測定したわけではない。
従来研究との違い
2015年の平均探索時間は、最終的に路上に停めた人が13.38分、地下駐車場に停めた人が15.72分だった。後者も全員が先に路上枠を探したと回答している。論文は、3時間駐車の料金比較で地下駐車場の料金が平均4.65ドル高く見積もられたと報告する。また、回答から見積もった路上駐車プレミアムは平均1時間当たり2.15ドルだった。表示料金を同額にするだけでは、運転者にとって両者が同じ魅力になるとは限らない、という解釈につながる。
結果と評価
2015年調査では、実際に使ったほどの時間を探すつもりはなかった人の平均探索時間は16.1分、そうではない人は9.5分で、平均差の検定結果はp<0.01だった。重回帰分析の決定係数は0.58で、地域と駐車事情へのなじみは探索時間と負の関連、5ドル以上の路上駐車プレミアムは正の関連を示した。意図した探索との関係を表す項目も負の係数だった。ただし、その二値変数の符号化は本文で明示されていない。予想料金の率の係数はp=0.17で、5%水準では有意ではなかった。
年別比較について論文は、調査年の差を有意、最終的な駐車先の差を有意でないと報告する。ただし、路上料金の引き上げは平日に限られる一方、聞き取りは金曜と土曜に行われた。さらに、2013年の人数は調査説明では計100人、集計表では路上・路外各70人と食い違い、分散分析表の駐車先に関する自由度も二分類という説明と整合しない。この比較から値上げの効果や無効性を因果的に結論づけることはできない。
限界・注意点
著者が挙げる限界は、探索時間が自己申告で、探索の開始・終了の捉え方も人によって異なること、駐車できず旅行を諦めた人を含まないこと、路上枠が需要に比べ少ないことである。運転者の社会経済的特徴も収集しておらず、著者は回帰式を一般的な予測モデルとは位置づけていない。編集上も、限られた場所・時間に駐車した人の回答から、地域全体の巡回走行率や情報提供策の効果へ広げて解釈しないよう注意が必要である。
現場への応用案
【編集上の応用案】駐車案内では時間単価だけでなく、「予定する滞在時間なら路上と地下でそれぞれいくらか」を並べて示すと、論文が扱った料金認識のずれを伝えやすい。目的地への近さも併記すれば、駐車先の魅力を安さだけで説明せずに済む。ただし、この調査は案内による探索時間の短縮を実証していない。
現場で確かめるには
【編集上の導入時の検証案】料金や空き状況の案内を導入するなら、導入前後の同じ曜日・時間帯に、運転者の料金認識、実際の探索走行、最終的な駐車先を記録して比較したい。料金や混雑度も記録し、可能なら案内を導入しない比較地区を設ける。自己申告の探索時間は走行記録と照合する。
解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。
