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交通と土地利用

米国4都市圏の雇用アクセスはどう変わったか――住宅・職場・移動時間を分けて読む

A portrait of accessibility change for four US metropolitan areas

Louis A Merlin
Journal of Transport and Land Use

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米国4都市圏を比べると、住宅や職場の立地と移動時間の変化は、雇用への行きやすさを地域ごとに異なる方向へ動かしていた。

この論文のポイント

  • 4都市圏の雇用アクセスを、TAZ別の住宅・雇用分布と手段別所要時間を使って二時点で調べた。
  • シカゴ、セントルイス、シアトルでは、基準年の自動車アクセスが低いTAZほど世帯増加率が高い傾向が見られた。
  • 雇用配置や所要時間の変化がどの区域のアクセスを改善するかは、都市圏によって異なった。

背景と課題

交通の成果を移動速度だけで測ると、目的地が近くにある利点を見落とす。アクセシビリティとは、ある場所から目的地にどれだけ到達しやすいかを表す尺度である。本論文は雇用へのアクセスを都市の機会へのアクセスの代理指標とし、シャーロット、シカゴ、セントルイス、シアトルの変化を調べる。対象は原則として2000年と2010年の自動車・公共交通による移動であり、都市圏全体の増減だけでなく、どの場所の住民に変化が及ぶかに着目する。

研究の方法

分析単位は、交通需要分析に用いる小地域「交通分析ゾーン(TAZ)」である。各都市圏について二時点のTAZ別住宅戸数・雇用数と、TAZ間の手段別所要時間を用意する。住宅戸数は居住地分布の指標であり、人口と同一ではない。セントルイスは資料の制約から基準年が2002年となる。所要時間は混雑時または朝の値を使う。公共交通の候補が複数あるTAZ間では最短時間を採用し、乗車までのアクセスは徒歩と仮定する。徒歩所要時間の推定値がない場合はTAZの面積から見積もる。同一TAZ内の移動時間は、近隣3TAZへの平均所要時間の半分とし、手段別に求める。

次に、出発TAZごとに「重力型アクセシビリティ」を計算する。これは、到着TAZにある雇用数に、行くまでの時間が長いほど小さくなる重みを掛け、都市圏内の到着地について足し合わせた値である。重みは exp(−δt) で、tはTAZ間の所要時間(分)、δは時間抵抗係数を表す。雇用数が増えれば値は大きくなり、所要時間またはδが大きくなれば、その雇用の寄与は小さくなる。δは都市圏人口から定め、同じ都市圏では自動車・公共交通と両時点に同じ値を使う。これにより時点間では重みの設定をそろえるが、δや所要時間モデルが都市圏ごとに異なるため、算出値の水準を都市圏間で直接比べることはできない。

内訳の分析では、基準年のアクセシビリティでTAZを並べ、人口がおおむね等しい自動車の5群、公共交通の3群に分ける。基準年の公共交通アクセスがゼロの区域は別扱いとする。住宅立地の影響は雇用配置と所要時間を固定して世帯分布の変化を調べる。雇用配置の影響は居住地・所要時間・雇用総数を固定し、雇用の分布だけを変えて、基準年人口で重み付けした群別の値を比べる。時間の影響は居住地と雇用配置を固定し、TAZ間の所要時間だけを更新して求め、住宅密度別にも集計する。実際の総変化には、これらの単独効果が重なった相互作用も含まれる。

この研究の新しさ

本論文の特色は、複数の都市圏について、細かなTAZ単位で二時点の自動車・公共交通アクセシビリティを共通の枠組みで追い、住宅立地、雇用配置、所要時間の影響を切り分けた点にある。雇用配置の比較では雇用総数を固定するため、「仕事の数が変わること」と「仕事の場所が変わること」を区別できる。

従来研究との違い

本文が紹介する先行研究には、アトランタ一都市圏の変化を分解しつつ地域全体の値を扱った研究や、米国51都市圏を都市圏単位の大まかなデータで比べた研究がある。本論文は、複数都市圏を対象にしながら、その内部でアクセスの変化がどう分かれるかを見る。ただし、都市圏間でアクセシビリティの算出値そのものの高低を競う比較ではない。

結果と評価

住宅立地については、シカゴ、セントルイス、シアトルで、基準年の自動車アクセシビリティが低いTAZほど世帯増加率が高い傾向が見られた。TAZ単位での両者の相関係数は、それぞれ−0.120、−0.192、−0.281である。シャーロットでは有意な正の相関は確認されていない。公共交通については4都市圏とも、基準年のアクセスがゼロの区域の世帯増加率が、アクセスのある各群より高かった。これらは立地との関連であり、アクセスの低さが開発を引き起こしたことを示す因果推定ではない。

雇用総数を固定した配置変化だけを見ると、自動車アクセシビリティへの影響は一様ではない。シアトルでは基準年の最高アクセス群が6.8%上がり、最低群は9.5%下がった。セントルイスでは最高群が5.6%下がり、最低群が4.7%上がった。所要時間だけを変えた住宅密度別の比較では、シカゴの自動車アクセシビリティは最高密度群で24.3%上昇し、最低密度群で2.3%低下した。シャーロットでは最低密度群が12.9%上昇し、最高密度群は1.4%低下した。セントルイスの公共交通では、所要時間変化による大幅なアクセス低下も示された。いずれも条件を固定した内訳であり、住宅・雇用・時間が同時に変わった総変化とは区別する必要がある。

限界・注意点

著者が挙げる限界には、TAZ内の道路網や停留所への歩きやすさを捉えきれないこと、雇用へのアクセスでは学校・公園など個別の目的地を表せないこと、集計結果が低所得者や公共交通依存者の違いを隠し得ることがある。時間抵抗係数は旅行調査で較正せず都市圏人口から設定している。付録では係数を上下20%変えてもTAZ別の算出値との相関が高いと示すが、それだけで個々の変化率まで不変とはいえない。また著者は、所要時間の変化について、インフラ整備、混雑、公共交通サービスそれぞれの寄与を識別できないとしている。2000年代末の景気後退を含む期間の4都市圏の結果を、他の時期や都市圏へそのまま一般化することもできない。

現場への応用案

【編集上の応用案】地域計画の成果を伝える際は、「所要時間が改善したか」に加え、「改善した場所に既存の世帯がどれだけ住んでいるか」を示したい。住宅密度別のアクセス変化を並べれば、主に周辺部に届く改善と、多くの現住者に届く改善を区別しやすい。

現場で確かめるには

【編集上の導入時の検証案】同様の指標を計画評価に使う前に、二時点のTAZ境界、住宅・雇用データの定義、交通需要モデルによる所要時間の比較可能性を確かめる。特に公共交通では、徒歩アクセスの推定と運行サービスの変更を点検し、固定条件で求めた内訳と実際の総変化を併記する。施策の効果と主張するには、この分解とは別の検証が必要である。

解説は原文の要旨・本文の確認範囲に基づきます。AIで作成し、同じモデルで原文との照合を行っています。全記事の人手による校閲は完了していません。「現場への応用案」「現場で確かめるには」は編集上の検討案です。

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